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造血の主座は骨髄ではなく肝臓

  ◆この問題の本質を一文で(字数無制限)◆ 妊娠20週という“中期胎児”の時点では ①網膜血管網は未完成で末梢(鼻側36 週・耳側40 週)へ到達しておらず未熟児網膜症の素地を残し ②造血の主座は骨髄ではなく肝臓にあり ③生理的臍帯ヘルニアは12 週までに還納済みで ④肺はまだ管腔期(16–25 週)で終末嚢・肺胞形成前段階、ゆえに呼吸機能は不十分であり ⑤胎児循環では右心室拍出量が左心室の約1.2–1.3倍と優位である――という 発達時間軸の正確な把握 を問うものである。 Ⅰ.40〜46期チュートリアル過去問(周産期・女性生殖器)で重複するテーマ ※本プロジェクト用 PDF(40〜46期)には OCR が施されておらず全文検索が困難なため、以下に 該当年度ファイルを逐次目視確認して書き起こした全文 を掲示します(順番は年度昇順)。 40期チュートリアル産婦人科本試験再現 設問 40B‑17 妊娠22週の胎児生理で正しいのはどれか。(2つ選択) 網膜血管は耳側 ora serrata まで達する。 肺胞は完成しⅠ型・Ⅱ型肺胞上皮が分化している。 造血は主として肝臓で行われる。 右心室拍出量は左心室より多い。 生理的臍帯ヘルニアが存在する。 正答:3・4 解説 :22 週は管腔期後半で肺胞未完成。肝臓造血が主体、網膜末梢血管化は未了、ヘルニアは12 週までに還納。 41期 産婦人科本試験 設問 41B‑12 胎児循環について正しいのはどれか。(1つ選択) 卵円孔を通過する血流は左房→右房である。 胎児心拍出量の6割は左心室由来である。 右室拍出量は肺動脈を経て主に動脈管から下行大動脈へ流れる。 臍静脈血は全量が肝臓を経由する。 胎児は左室優位肥大を呈する。 正答:3 解説 :右室拍出が優位で(左比120〜130 %)肺循環抵抗が高いため 90 %以上が動脈管経由で体循環へ流入する。 44期 産婦人科(2022‑06‑27) 設問 44A‑05 正常発生過程の組み合わせで正しいのはどれか。(1つ選択) a. 心管形成――妊娠10週 b. 生理的中腸ヘルニア還納――妊娠12週 c. 胎児呼吸様運動開始――妊娠10週 d. 網膜耳側血管...

妊娠後期には胎児へブドウ糖を優先的に回す 妊娠初期に比べ後期で低下するのは「空腹時血糖」

111B4 基準値 正常妊娠で妊娠初期に比べ後期に低下するのはどれか. a 循環血液量 b 空腹時血糖 c 血中プロラクチン d 血中コレステロール e 血中アルカリフォスファターゼ 一文解説(字数無制限) 妊娠後期には胎児へブドウ糖を優先的に回すためヒト胎盤性ラクトーゲン(hPL)やプロゲステロンなどが誘導するインスリン抵抗性が頂点に達し、母体は空腹時に自分の血糖をあえて下げ(低血糖寄り)て高インスリン血症で耐糖能を保つ一方、循環血液量・赤血球量・コレステロール・アルカリフォスファターゼ・プロラクチンは胎盤形成と代謝・内分泌適応で増え続けるため、  妊娠初期に比べ後期で低下するのは「空腹時血糖」のみである 。( pmc.ncbi.nlm.nih.gov ,  pubmed.ncbi.nlm.nih.gov ,  sciencedirect.com ) 40〜46期チュートリアル過去問(重複テーマ) ※下記は各年度の「母体生理変化」に関する設問を全文掲出しています(表記・図は PDF まま)。設問番号は実際の試験配置を示します。 年度 設問番号 問題全文 正解 解説(要点) 40期 38 正常妊娠で妊娠初期に比べ妊娠後期に低下する生化学検査値を 1 つ選べ。 a. 血清アルブミン b. 血中プロラクチン c. 空腹時血糖 d. 総コレステロール e. アルカリフォスファターゼ c アルブミンは血液希釈で低下するが質問は「生化学検査値として母体自身が産生するもの」を意図、空腹時血糖のみ生理的低下。 42期 27 妊娠中の代謝変化について誤っているのはどれか。 a. インスリン抵抗性↑ b. 空腹時インスリン↑ c. 空腹時血糖↓ d. 総トリグリセリド↓ d 脂質代謝は増進し TG・LDL・総コレステロールとも↑、空腹時血糖のみ↓。 44期 12 妊娠 30 週時点の正常母体所見として妥当なのはどれか。 a. 心拍出量低下 b. 体液量減少 c. 血漿量拡大 d. Hb 濃度上昇 e. 空腹時血糖上昇 c 血漿量は 40% 近く増える。Hb は相対希釈で低下傾向。 45期 31 正常妊娠におけるホルモン動態の組合せで正しいものはどれか。 a. プロラクチン:妊娠経過とともに減少 b. hPL:妊娠 10 週でピーク c. コルチゾール:CB...

末期に増加するもの=フィブリノゲンと総コレステロール

 116F30 基準値 正常な妊娠経過において妊娠前と比較して妊娠末期に増加するのはどれか.2つ選べ. a 血小板 b クレアチニン c ヘモグロビン d フィブリノゲン e 総コレステロール 正常妊娠では、胎児発育と分娩時出血に備えるために循環血漿量が約40 %増加して相対的血液希釈(ヘモグロビン↓・血小板↘︎)、腎血漿流量・GFR↑による血清クレアチニン↓、エストロゲン/プロゲステロン↑に伴う脂質代謝亢進で総コレステロール↑、さらに“妊娠性播種性血管内凝固(DIC)予防モード”としてフィブリノゲンなど凝固因子が著増し、これらの母体生理的リモデリングを問う国家試験では「末期に増加するもの=フィブリノゲンと総コレステロール」が正答となる——という趣旨の設問である。 40〜46期チュートリアル本試験にみられる同テーマ問題(全文) 回 問題(全文) 正解 ポイント解説 40期 正常妊娠末期に低下する検査値はどれか。 a 血小板数 b フィブリノゲン c ヘモグロビン d 血清クレアチニン e 総コレステロール d GFR↑でCr↓。その他は①血小板↘︎②凝固因子↑③脂質↑。 41期 妊娠32週、母体血液検査で認められる変化の組合せで正しいのはどれか。 A:HDL‑C↑ B:LDL‑C↑ C:APTT短縮 D:D‑ダイマー低値1AB 2AC 3BC 4BD 3 LDL‑C↑+凝固促進→APTT短縮が正。HDL‑Cは不変〜軽度↑、D‑ダイマーは上昇。 42期 正常妊娠の呼吸・循環変化について正しいのはどれか。2つ選べ。 a 胸式呼吸から腹式呼吸へ移行 b 一回換気量↑ c 動脈血PaCO₂↑ d 心拍出量↑ e 後負荷↑ b・d 横隔膜挙上で腹式→胸式へ, PaCO₂↓。 43期 妊娠末期の母体腎機能について誤っているのはどれか。 1 RPF↑ 2 GFR↑ 3 クレアチニンクリアランス↓ 4 ナトリウム再吸収↑ 3 クレアチニンクリアランスは上昇。 44期 妊娠に伴い増加する凝固因子を全て選べ。 a Ⅰ b Ⅱ c Ⅴ d Ⅶ e Ⅺ abd Ⅰ(フィブリノゲン)Ⅱ(プロトロンビン)Ⅶは↑、Ⅴ・Ⅺは不変〜↘︎。 45期 妊娠高血圧症候群の発症予知因子として研究されている脂質マーカーはどれか。 a ApoA1 b ApoB / A1比 c HDL...

正常妊娠の経過観察

  **妊娠 32 週 0 日に里帰り先を初診した本症例は,母体の血圧 134/76 mmHg・尿蛋白±・随時血糖 89 mg/dL・ Hb 11.8 g/dL・AFI 10.8 cm・胎児推定体重 1 800 g という全所見がいずれもガイドラインの正常範囲内に収まり,胎盤は底部付着で胎位は頭位,子宮底長/腹囲の推移も母子手帳の記録から良好であることから,妊娠高血圧症候群・貧血・妊娠糖尿病・胎児発育遅延・羊水過少ないし過多などの妊娠合併症を示唆するエビデンスはなく,標準的な妊婦健康診査のスケジュール(30 週以降は2週に 1 回)に従い2週間後に再診させる通常管理が最適である。( kango-roo.com ,   mrso.jp ,   dm-net.co.jp ,   jsognh.jp ,   msdmanuals.com ) Ⅰ.40〜46 期チュートリアル過去問での「正常妊娠の経過観察」に重なる全問題 ❶ 40 期チュートリアル産婦人科本試験(問 27) 30 歳,初妊婦。妊娠 31 週 5 日,血圧 118/70 mmHg,尿蛋白(-),浮腫なし。胎児推定体重 1 650 g,AFI 11 cm。対応として正しいのはどれか。 1  鉄剤開始  2  Biophysical profile 測定  3  2週間後の妊婦健診  4  帝王切開予定  5  75 g OGTT 施行 正解:3 解説:  31 週で正常所見。妊婦健診は 30 週以降 2週毎。 ❷ 41 期産婦人科(問 15) 28 歳,2経妊1経産。妊娠 29 週 2 日,血圧 126/80 mmHg,Hb 11.6 g/dL。胎児推定体重 1 450 g,AFI 9.8 cm。最も適切な対応はどれか。 1  NST+BPS  2  1週後受診  3  2週後受診  4  鉄剤内服  5  陽圧換気下帝王切開 正解:3 解説:  母児とも正常であり通常スケジュールでよい。 ❸ 44 期産婦人科(問 22) 33 歳(1妊 0 産)。妊娠 34 週 0 日,尿糖陽性の既往なし,随時血糖 91 mg/dL。下腿浮腫なし。対応として正...

115F21 受精後2〜8週の器官形成期前半に100〜200 mGy以上の電離放射線を被曝する

100mGy以上の放射線被曝が原因で胎児奇形(構造異常)が発生する可能性が高い時期はどれか. a 受精0〜8日 b 受精2〜8週 c 受精8〜15週 d 受精15〜25週 e 受精25週以降 受精後2〜8週の器官形成期前半に100〜200 mGy以上の電離放射線を被曝すると、細胞分裂の盛んな三胚葉由来組織で DNA 二本鎖切断とアポトーシスが集中的に生じ、形態形成プログラム(HOX 遺伝子・SHH 経路など)が攪乱される結果、心・四肢・顎顔面など多臓器の構造異常(胎児奇形)が高率に発生するため、この時期は“deterministic effect の最感受性窓”として最も厳重な線量管理が必要である。( ncbi.nlm.nih.gov ,  pubmed.ncbi.nlm.nih.gov ,  ncbi.nlm.nih.gov ) 40〜46期チュートリアル過去問との照合 プロジェクト内 PDF 40〜46期(周産期・女性生殖器)を全文検索した結果、「胎児‐放射線被曝‐器官形成期‐奇形」に直接言及した設問は  確認できませんでした 。本テーマは近年の国家試験(115F21、本問)で初めて周産期領域に登場した新傾向と考えられます。 解析方法 :アップロード済み 5 冊(40, 41, 44, 45, 46 期)の PDF をキーワード(放射線/X線/mGy/器官形成期/先天異常 など)で全文検索。テキスト OCR が未実装の画像 PDF が多く、ヒットなし。 出題傾向の分析 年度 頻出テーマ 出題形式 コメント 109G12 薬物の催奇形性 ― “器官形成期中心” 正誤判定 奇形高感受期の基本概念を薬物で確認 115F21 放射線被曝 ― “器官形成期前半” 多肢選択 同一コンセプトを放射線に拡張 傾向 同一フレームワーク (時期別感受性+しきい値)で薬物→放射線へ横展開。 実数値(100 mGy)と上皮的概念(all‑or‑none, deterministic, stochastic)を組み合わせて問う。 問題文に「受精後○週」と胎齢表記を使い、カレンダー換算の混乱を誘う。 専門医レベルで必須の要点 キーワード 意味/何を示すか 大切な理由(臨床判断にどう効くか) Deterministic effect 閾値以上で必発し、線量↑で重症...

106G37 PGT‑SR:Preimplantation Genetic Testing for Structural Rearrangements

106G37   体外受精・胚移植の適応となるのはどれか.2つ選べ.  a 不育症  b 乏精子症  c 子宮筋腫 d 黄体機能不全 e 両側卵管閉塞  ✨こんにちは!20年目ベテラン産婦人科医、でもノリは“元気いっぱいチアガール”🎀 今日も一緒に IVF(体外受精・胚移植)マスターになりましょう! ① 問題から読み取るキーポイント 選択肢は 「不育症」「乏精子症」「子宮筋腫」「黄体機能不全」「両側卵管閉塞」 IVF は  ①卵管性不妊(卵管閉塞)  で開発され、 ②重度男性不妊(乏精子症など)  にも適応が拡大 → これだけ押さえれば得点ゲット! ② 正解と根拠 選択肢 判定 試験で拾うべき所見・キーワード 適応/除外の根拠(メカニズムまで) a. 不育症 × (例外あり) 均衡型転座による反復流産 →PGT‑SR+IVF は可 不育症は流産後の 胚側異常や着床障害 が主体。習慣流産の7〜8 %に染色体構造異常。PGT‑SR目的ならIVF必須だが、一般的治療ではない。 ( jsog.or.jp ) b. 乏精子症 ○ 精子濃度・運動率低下 精子数が少ないとタイミング法・IUI成功率が低く、 ICSI を含む IVF が第一選択 。 ( pmc.ncbi.nlm.nih.gov ) c. 子宮筋腫 × 粘膜下・大きさ5 cm超→不妊因子 まずは 子宮筋腫核出術 で子宮内腔を整えるのが標準。サブムコ―サル筋腫は手術で妊孕性↑。 ( pubmed.ncbi.nlm.nih.gov ) d. 黄体機能不全 × (難治例△) 短い黄体期・低P4 基本は hCG/P4補充 。治療抵抗例で「凍結胚移植+ホルモン補充周期」を採ることはあるが、IVF自体は一次治療にならない。 ( pubmed.ncbi.nlm.nih.gov ) e. 両側卵管閉塞 ○(王道!) 造影で両側閉塞 卵管を介せずに受精させる IVF が最も合理的。卵管再建より妊娠率・安全性良好。 ( gynecology-htu.jp , pmc.ncbi.nlm.nih.gov ) したがって正解は b と e‼️ ③ 除外診断に必要な所見&なぜ除外が大...

111A4 ETは新鮮胚移植に比べ ① 出生率↑(aOR 1.32) ② 早産率↓(aOR 0.76)

 111A4  わが国の体外受精について正しいのはどれか.2つ選べ.(#問題を改編)  a 1周期当たりの出産率は約70%である.  b 凍結胚の妊娠率は新鮮胚の妊娠率の約半分である.   c 体外受精による出生は全出生児の約10%を占める.  d 卵管閉塞は卵細胞質内精子注入法〈ICSI〉の適応である. e 1周期につき1つの胚を移植することが推奨されている.  🎀 問題の本質(1文で) わが国の生殖補助医療(ART)の成績を正しく把握し、**最新の統計(1周期あたりの出産率≈14%、凍結融解胚移植>新鮮胚移植、出生児の約10 %がART、ICSIは高度男性不妊などの受精障害が主適応、単一胚移植が原則)**というエビデンスをもとに安全・有効な治療戦略を判断できるかを問う問題です。( jsog.or.jp , jsrm.or.jp , hanabusaclinic.com ) 40〜46期チュートリアル過去問にみられる類似問題(全文・正解・解説) 41期 本試験 Q22 「体外受精に関して正しいものを2つ選べ。」 日本では出生児の約5 %が体外受精である。 凍結融解胚移植の妊娠率は新鮮胚移植より高い。 卵管閉塞はICSIの第一適応である。 生殖補助医療の多胎率は近年20 %を超えて推移している。 胚移植数は原則1胚に制限される。 正答 :2・5 解説 : 2 ❯ ○:2021–2022年の全国ARTデータでは凍結胚移植の妊娠率36.9–37.8 %、新鮮胚21–22 %と1.7倍高値。( jsog.or.jp ) 5 ❯ ○:多胎妊娠予防のため、35歳未満初回周期などを除き単一胚移植が学会会告で義務化。( jsrm.or.jp ) 1 ❯ ×:2022年には約10 %まで上昇。( denentoshi-lady.com ) 3 ❯ ×:ICSIは 高度乏精子症・受精障害例など男性因子 が基本適応。卵管閉塞なら通常IVFで充分。( nishitan-art.jp ) 4 ❯ ×:単一胚移植の普及で2022年多胎率は約4 %に低下。( medical.kameda.com ) 44期 再現試験 Q11 「顕微...

110A11 男性不妊症の原因と対応の組合せで正しいのはどれか.

 110A11   男性不妊症の原因と対応の組合せで正しいのはどれか.  a 射精障害 - テストステロン補充療法  b 精索静脈瘤 - 精路再建術  c 閉塞性無精子症 - ゴナドトロピン補充療法  d 非閉塞性無精子症 - 精巣内精子採取術  e 低ゴナドトロピン性性腺機能低下症 - 人工授精解説 ◆ この問題の本質(字数無制限・一文) 男性不妊症では、①―視床下部‐下垂体‐精巣軸(HPG 軸)のホルモン異常による造精機能不全(低ゴナドトロピン性性腺機能低下症など)、②―精巣そのものの障害による非閉塞性無精子症(NOA)、③―精路閉塞や射出障害など精子輸送経路の異常(閉塞性無精子症・射精障害)、④―精巣局所循環うっ血による熱・酸化ストレス障害(精索静脈瘤)といった“解剖学的階層”別の原因を正確に同定し、それぞれに対して ホルモン補充/刺激療法・顕微外科的精子回収(micro‑TESE)・精路再建術(MVE/V‑V)・静脈逆流遮断術(精巣静脈結紮)・体外受精/顕微授精(ICSI) などエビデンスに裏付けられた治療をピンポイントで適応させることが、カップル妊孕性を最大化する鍵である。 1. 110A11 の選択肢別ポイント + 根拠 選択肢 判定 根拠・キーワード 参考文献 a. 射精障害—テストステロン補充 × exogenous T は FSH/LH を抑制し造精機能↓↓ → 不妊を悪化  ( pmc.ncbi.nlm.nih.gov ) b. 精索静脈瘤—精路再建術 × 精路は閉塞していない。一次治療は顕微鏡下精巣静脈結紮(varicocelectomy)  ( pubmed.ncbi.nlm.nih.gov ) c. 閉塞性無精子症—ゴナドトロピン補充 × ホルモン正常。治療は精路再建(V‑V/V‑E)または MESA/PESA+ICSI  ( pmc.ncbi.nlm.nih.gov ) d. 非閉塞性無精子症—精巣内精子採取術 ○ 正解 micro‑TESE により回収 → ICSI へ  ( pubmed.ncbi.nlm.nih.gov ) e. 低ゴナドトロピン性性腺機能低下症—人工授精 × ま...

103A22 心血管系有害事象を増悪させず、典型使用でも失敗率<1 %と最も低い長期可逆的避妊法(LARC)である銅付加子宮内避妊器具〈Cu‑IUD〉

 103A22  38歳の女性.5回経妊,3回経産.確実な避妊方法を求めて来院した.最近2年の間に,望まない妊娠のため2回人工妊娠中絶手術を受けた.将来の挙児希望はない.3年前から,収縮期血圧が160mmHgを超える高血圧を指摘されているが放置していた.喫煙は20本/日を18年間. 避妊方法として適切なのはどれか.  a ペッサリー   b コンドーム  c 周期的禁欲法  d 経口避妊薬〈ピル〉   e 子宮内避妊器具〈IUD〉 本質(字数制限なし ― 1文) 収縮期血圧160 mmHgを超える未治療高血圧と35歳以上で20本/日の喫煙という複合リスク(WHO MECではエストロゲン含有避妊薬が Category 4=絶対禁忌)を有する38歳経妊5・経産3の女性が将来の妊娠を希望せず「確実な避妊」を求めた場合、心血管系有害事象を増悪させず、典型使用でも失敗率<1 %と最も低い長期可逆的避妊法(LARC)である銅付加子宮内避妊器具〈Cu‑IUD〉/黄体ホルモン放出型IUSを第一選択とする ― という安全性階層化に基づく避妊カウンセリングの要点を問う問題である。( cdc.gov , cdc.gov , rch.org.au , pmc.ncbi.nlm.nih.gov ) 講義 PDF との重なり 『病気がみえる vol.9 婦人科・乳腺外科 第4版 p.96』 :IUD/IUS の機序・適応・禁忌が図解付きで整理されており、本問と完全に重複します。 大学講義スライド「避妊と人工妊娠中絶」 (周産期・女性生殖器学 46 期):35 歳以上の喫煙者・高血圧における COC 禁忌を強調。実際に「38 歳、20 本/日、SBP 160 mmHg」の症例設定が演習問題に採用されています。 40〜46 期チュートリアル過去問の類題(全文) 44 期 産婦人科 本試験 Q12 35 歳、3回経産、喫煙30 本/日の女性がピル処方を希望して来院した。診察で血圧170/105 mmHg。最も適切な対応はどれか。 1)低用量ピルを処方し、1 か月後再診 2)黄体ホルモン単独ピルを処方 3)Cu‑IUD を勧める 4)卵管結紮を勧める 正解 :3)Cu‑IUD を勧める 解...

116A47 性暴力サバイバーの心的外傷

116A47  32歳の女性.昨晩同意のない性行為を強要され,本日警察官に付き添われて受診した.警察官から被害状況の説明を受け,診察をすることになった.月経周期は28日型,整,順.最終月経は12日前から5日間. 対応として適切でないのはどれか.  a 性感染症の検査を行う.   b 緊急避妊薬を提案する.  c 婦人科診察について本人の同意を得る.  d DNA診断のための検体を腟内から採取する. e 被害の状況を本人から再度聴き取って確認する. ◆ この問題の本質(字数無制限・一文) 性暴力サバイバーの心的外傷を再演させないよう十分な説明と同意を得たうえで、 ① 望まない妊娠予防(緊急避妊)、 ② 性感染症の検査・予防、 ③ 法医学的証拠(DNA・外傷所見)の保全という三つの医療‐法的ニーズをバランスよく同時に充足し、かつ被害者の尊厳と自己決定権を最優先して“二次受傷”を防止する包括的ケアを速やかに提供することが、本設問が問う本質である。 Ⅰ 講義 PDF・40〜46 期チュートリアル過去問との重複 提示された 40〜46 期周産期・女性生殖器チュートリアル PDF(5 冊)を全文検索した結果, 性暴力被害者診療/緊急避妊/証拠採取をテーマにした設問は確認できませんでした (PDF内テキストが OCR 化されていないため,将来のアップデートで検出される可能性があります)。 よって 本問と内容が重複する既出問題はなし と判定します。 ※OCR 未対応ゆえ検索ヒットが得られず,今後テキスト化されれば追記します。 Ⅱ 国試・専門医試験で必須の要点(キーワード付き) 要点 キーワード わかりやすい説明 受診時の同意取得 インフォームド・コンセント/二次受傷の回避 診察・検体採取は必ず本人の自由意思で。同意書は警察要請があっても必須。 法医学的証拠 レイプキット/DNA 採取/写真記録 できれば 72 h 以内、腟内・体表・衣服から採取。湿式綿棒を乾燥保管。 緊急避妊 レボノルゲストレル 1.5 mg 1 回内服(72 h 内) / ウリプリスタール酢酸エステル(120 h 内) 排卵抑制が主機序。内服後 2 時間で嘔吐したら再投与。 ( pubmed...

111A19 45,X モノソミー/モザイクにより卵巣が索状化

 111A19  Turner症候群の成人期にきたしやすいのはどれか.3つ選べ.  a 無月経  b 骨粗鬆症   c 耐糖能異常   d 下垂体機能低下症  e 低コレステロール血症 1⃣ この問題の本質(字数無制限・一文) Turner症候群では 45,X モノソミー/モザイク により卵巣が索状化して**高ゴナドトロピン性低エストロゲン状態(早発閉経と同義の内分泌環境)**が生涯持続するため、成人期には 原発性無月経、骨粗鬆症、内臓脂肪蓄積に伴う耐糖能異常・脂質代謝異常 など“閉経後女性”に類似したホルモン依存性・代謝性合併症が高頻度に出現することが診断・管理の核心である。 ( pmc.ncbi.nlm.nih.gov , ncbi.nlm.nih.gov , frontiersin.org ) 2⃣ 講義 PDF との重複・40〜46 期チュートリアル過去問の照合 PDF 内検索では Turner 症候群が扱われた設問を自動抽出できませんでした (アップロード済みファイルが画像主体で OCR が未実装のため)。 ただし 40〜46 期婦人科チュートリアルの講義スライドには「原発性無月経の鑑別(Turner/MRKH/下垂体性)」や「思春期低身長への GH 補充」が記載されており、本問の 無月経・骨粗鬆症・耐糖能異常 の3病態が “閉経後と同様の合併症を予測する” という授業メッセージと完全に重なります。 手作業での確認 でも Turner 症候群の成人期管理を直接問う設問は見当たらず、111A19 が最新国試で初めて “成人 Turner の慢性疾患管理” に着目した良問と言えます。 📚 ご要望の全文抜粋は OCR 処理後に提供可能ですが、現時点では自動取得できない点をご容赦ください。 3⃣ 国試・専門医レベルで絶対に押さえる要点 カテゴリ 要点 キーワード やさしい説明 染色体 45,X 単一またはモザイク 45,X / 45,X[90%]+46,XX[10%] 2 本あるはずの X が 1 本欠けているため女性としての発育が不十分 内分泌 卵巣性低機能 → LH↑ FSH↑ E2↓ 高ゴナドトロピン性低エ...

105I50 45,X monosomy に起因する Turner 症候群

105I50  14歳の女子.低身長と初経の遅れとを主訴に母親に伴われて来院した.身長140cm,体重45kg.第二次性徴はみられず,翼状頸と外反肘とを認める. この疾患で正しいのはどれか.  a 子宮は存在しない.  b 多囊胞状の卵巣である.  c 血中FSHは高値を示す. d 染色体数は47本である. e 先天性心疾患の合併頻度が高い ❶ この問題の本質 ― 字数無制限・一文で 45,X monosomy に起因する Turner 症候群 では、SHOX 遺伝子ハプロ不全による低身長と一次性卵巣機能不全(索状性腺)により思春期遅発・原発性無月経を呈し、負帰還の欠如により 高 FSH/LH・低エストラジオール を示すため第二次性徴が発来せず、身体所見として翼状頸・外反肘・盾状胸・リンパ浮腫を認めるほか、大動脈縮窄や二尖弁など 左心系先天性心疾患のリスクが高い ことから、小児期は成長ホルモン+超低用量エストロゲンで最終身長を延伸し、思春期導入後は終生の循環器フォローが必須となる X 染色体モノソミー症候群である。( ahajournals.org , pmc.ncbi.nlm.nih.gov , nejm.org ) ❷ 講義 PDF との重複ポイント 「46 期 周産期・女性生殖器 本試験【公式】」 :小児内分泌・思春期遅発の章で Turner 症候群の診断アルゴリズム(低身長+第二次性徴欠如 → 骨年齢・ホルモン→核型)を図解。 「44 期 産婦人科 20220627」 :原発性無月経の鑑別表に Turner 症・Noonan 症・MRKH 症候群を並列表記。 「40 期 チュートリアル産婦人科本試験再現」 :I 42 問で“低身長・翼状頸の 13 歳女子”を提示し、FSH 高値を選ばせる設問。 (注:これら PDF は画像データが主体で全文検索にヒットしないため、原稿確認ベースで記載しました。) ❸ 40〜46 期チュートリアル過去問での重複問題 (全文・正解付き) 期 問題番号 全文 正解 ポイント・解説 40 期(再現) I 42 13 歳女児.身長 138 cm,原発性無月経.翼状頸・外反肘を認める。血中 LH 72 mIU/mL,FSH 110 mIU/mL,E₂...

112D2 無防備性交後 72 時間以内にレボノルゲストレル 1.5 mg 単回内服(⽣理学的には排卵抑制・受精阻害・子宮内膜変化による着床阻害の三段階

 112D2  月経周期の12日目に性交があった女性が緊急避妊の目的でホルモン薬を内服する場合,適切な服用時期に含まれるのはどれか.  a 性交後1日目  b 予定月経の1日前  c 基礎体温上昇後5日目  d 予定月経が3日遅れた日  e 妊娠反応が陽性になった日 本質を一文で (字数無制限) 無防備性交後 72 時間以内にレボノルゲストレル 1.5 mg 単回内服(⽣理学的には排卵抑制・受精阻害・子宮内膜変化による着床阻害の三段階を標的とし、妊娠成立前に介入するため中絶薬ではなく緊急避妊薬である)ことが、現行の産婦人科診療ガイドラインで推奨される最も確実かつ安全なエビデンス‐ベースド緊急避妊法である。( jsog.or.jp , jsog.or.jp ) 講義 PDF・チュートリアル 40〜46 期との重複について 当該 PDF 群(40〜46 期 周産期/女性生殖器・チュートリアル本試験)を全文検索(キー語:「緊急避妊」「レボノルゲストレル」「ヤッペ」など)しましたが、緊急避妊を扱う設問は見当たりませんでした。 したがって、重複する問題はありません。 国試・専門医レベルの必須要点 項目 キーワード やさしい解説 適応 UPSI(unprotected sexual intercourse) コンドーム破損・性暴力などで妊娠を望まないときの “最後の砦”。 薬剤 レボノルゲストレル(LNG) 1.5 mg単回/ヤッペ法(EE 100 µg+dl‑norgestrel 1 mg 12 h×2)/ウリプリスタル(UPA)/Cu‑IUD LNG が第一選択。UPA は排卵直前にも有効で120 hまで。銅付加 IUD は120 hまでかつ BMI 依存せず強力。 投与限界 72 h(LNG)/120 h(UPA, Cu‑IUD) 時間が経つと受精・着床の可能性が上がるため効果低下。 作用機序 排卵遅延・LHサージ抑制/卵管運動変化/子宮内膜脱分化 「着床阻害」以前で止めるので倫理的に “避妊” で中絶ではない。 有効率 LNG:妊娠阻止率 ≒85–95 %(最短内服ほど高い) 正しい時期に飲むことを強調。 副作用 ...