2025年度(令和7年度)埼玉県公立高校入試の国語 古文

2025年度(令和7年度)埼玉県公立高校入試の国語(古文・『古今著聞集』)において、正解を導くために不可欠だった重要古典文法を抜き出して解説します。

この問題では、単なる暗記だけでなく、文法知識を使って「主語を特定する」「理由を説明する」力が問われました。

1. 敬語(主語判別のカギ)

問3で「仰せられて」の主語を特定するために必須の知識です。

  • 尊敬語
    • 仰す(おほす):「おっしゃる」という意味の尊敬語。
    • らる(れ):尊敬の助動詞「る・らる」。
    • たまふ(給ふ):補助動詞として使われ、動作主への敬意を表す。
    • 解説: 本文中の「仰せられて」は、「仰す(尊敬)」+「らる(尊敬)」の二重尊敬になっています。この強い敬意表現から、動作の主語は身分の高い「大臣(左大臣)」であると判断できます,。

2. 接続助詞「ば」(已然形+ば)

問2で「笑ひ出したりければ」の理由を説明するために必要な文法です。

  • 已然形+ば
    • 意味: ~ので、~から(順接確定条件・原因理由)。
    • 解説: 「(女房達が)笑い出したので、(大臣が~と言った)」という因果関係を作ります。この「ば」の前にある状況(侍が季節外れの「青柳」という言葉を使ったこと)が、笑いの原因であることを特定する手がかりになります。

3. 歴史的仮名遣い

問1で直接問われた知識です。

  • 語中・語尾の「は・ひ・ふ・へ・ほ」
    • ルール: 「ワ・イ・ウ・エ・オ」と読む。
  • ア段の音+「う」
    • ルール: 「オー」とのばす音(オ段の長音)になる。
    • 出題箇所: 「つかうまつれ」
    • 変化: つかうまつれ $\rightarrow$ tsu ka u mature $\rightarrow$ tsu ko o mature $\rightarrow$ つこうまつれ,。

4. 和歌の修辞法(掛詞)

問4で問われた、和歌の解釈に必須の文法・技法です。

  • 掛詞(かけことば)
    • 定義: 一つの言葉に二つ以上の意味を持たせる技法。
    • 出題箇所:
      • はたおり: 「機織り」と「きりぎりす(虫)」の二つの意味。
      • へて(経て/綜て): 「(時が)経て」と「(糸を)綜(へ)て」の二つの意味。
    • 解説: 会話文の中で先生がこの技法について説明しており、この知識が大臣が感心した理由(技巧的な歌であったこと)を導く根拠となります。

これらの文法事項、特に**「敬語による主語特定」「掛詞の理解」**が、今回の埼玉県の古文問題を解くための核となっていました。


2025年(令和7年)度埼玉県公立高校入試の国語(大問四・古文)で出題された『古今著聞集』の文章において、問題を解く鍵となった重要単語や語句を解説します。

この問題では、単語の意味だけでなく、和歌の修辞法(掛詞)としての意味を理解しているかが問われました。

1. 読解・設問の核となった重要単語(掛詞)

会話文の中で生徒と先生が議論しており、設問の解答根拠となった最も重要な語句です。

  • はたおり
    • 意味①:きりぎりす(こおろぎの一種)の古い呼び名。
    • 意味②:機(はた)で布を織ること(機織り)。
    • 文脈:左大臣は秋に虫の「はたおり」の声を愛でていましたが、侍はこの言葉の二重の意味を利用して和歌を詠みました。
  • へて(経て/綜て)
    • 意味①:(時が)たつ、経過する。
      • 和歌の中では「夏へて(夏が過ぎて)」として使われています。
    • 意味②:経糸(たていと)を引き延ばし、機織機(はたおりき)にかける(「綜(へ)る」)。
    • 文脈:「はたおり(機織り)」の縁語(関連語)として使われており、高度な技法と評価されました。

2. 設問で問われた語句・注釈にあった語句

文法問題や内容理解のために重要だった語句です。

  • つかうまつれ
    • 意味:「しなさい」「(歌を)詠みなさい」。
    • 文法:謙譲語「仕うまつる」の命令形。目上の人(大臣)が目下(侍)に対して「(私に対して)~せよ」と命じる場面で使われています。
    • 出題:問1で歴史的仮名遣いから現代仮名遣いへの書き換え(答え:つこうまつれ)が問われました。
  • あをやぎ(青柳)
    • 意味:春に新芽を出した柳。
    • 文脈:秋の場面であるにもかかわらず、侍が春の言葉である「青柳」を口にしたため、女房たちが「季節外れだ(折にあはず)」と笑うきっかけとなりました。
  • とく(疾く)
    • 意味:早く。
    • 文脈:大臣が侍に「早う(歌を)詠め」と促す場面で使われました。
  • たまはせけり(賜はせけり)
    • 意味:お与えになった。
    • 文脈:大臣が侍の歌に感心して、褒美として着物(直垂)を与えた結末部分で使われました。
  • さぶらふ(候ふ)/さぶらひける
    • 意味:お仕えする、控えている(丁寧語・謙譲語)。
    • 文脈:女房たちが大臣のそばに控えている様子を表しています。

まとめ

この問題では、**「はたおり」と「へて」が二つの意味を持つ(掛詞である)**という知識が、和歌の解釈や大臣が感心した理由(問4)を答えるための決定的な根拠となっていました。

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