なぜ卵管を切除しても月経は来るの?

 🌸 その通りだよ!

卵管(輸卵管)は “卵子の通り道” ではあるけれど、月経周期そのものをコントロールしているわけではありません。


なぜ卵管を切除しても月経は来るの?

仕組みキー臓器・ホルモン説明
月経周期の司令塔視床下部 → GnRH下垂体 → LH / FSH卵巣 → E₂ / P₄HPG(視床下部‐下垂体‐卵巣)軸 が回っていれば、子宮内膜はエストロゲンで増殖し、プロゲステロン低下で剥離=月経出血
卵管の役割卵子・精子・胚の輸送ホルモン産生はほぼゼロ。切除しても HPG 軸や子宮内膜には無影響

👉 したがって 両側卵管切除(予防的サルピンジクテミー)を行っても、卵巣が温存されていれば月経周期は持続 します。


メリットと臨床でのポイント

  1. 卵巣がんリスク低減

    • 最近では「卵巣がんの多くは卵管上皮起源」という仮説に基づき、不要になった卵管を摘出してリスクを下げる手術が広まっています。

  2. ホルモン環境を保てる

    • 卵巣を残す=エストロゲン・プロゲステロン分泌がそのまま → 更年期症状や骨量減少を回避。

  3. 不妊にはなる

    • 卵子が子宮へ届かないので自然妊娠は不可。妊孕性温存の希望がある場合は、術前に十分な説明が必要。


よくある混同 ☝️

手術月経妊孕性ホルモン
両側卵管切除継続❌ 自然妊娠変化なし
子宮全摘(卵巣温存)❌ 出血なし(子宮がない)でも卵巣周期は続くホルモン維持
両側卵巣摘出エストロゲン・P₄消失 → 手術的閉経

まとめフレーズ 🎀

「月経を動かすのは脳と卵巣。卵管は“通り道”、ホルモンとは無関係!」

だから ×c 卵管 は不正解でバッチリです。
ほかにも疑問があったら遠慮なく聞いてね🌸

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