熱中症でなぜ、CKが上がるのか?

 

ひと言でまとめると

熱中症では、過度の高体温と循環障害が引き金となり骨格筋(ときに心筋)が“ゆで上がって”壊れるため、筋細胞内に大量に存在するクレアチンキナーゼ(CK)が血中へ漏れ出し上昇します。


もう少し丁寧に:6 つのステップで理解する CK 上昇メカニズム

ステップキーワード具体的なプロセスCK 上昇への直結ポイント
1過熱 (≥40 ℃)タンパク質変性・脂質二重層の融解細胞膜に穴→CK 漏出
2ATP 枯渇激しい筋収縮+高体温でエネルギー消耗 → Na⁺/K⁺ポンプ停止浸透圧異常で細胞膨化・破裂
3Ca²⁺ 過負荷ポンプ停止 → Ca²⁺細胞内流入カルパインなどプロテアーゼ暴走→筋線維崩壊
4微小循環障害発汗脱水+血管拡張→低血圧・高血粘度虚血+再潅流で酸化ストレス→細胞死
5全身性炎症 (SIRS) & DICサイトカイン放出・凝固系活性化微小血栓で二次的筋壊死
6心筋ストレス循環不全+高体温で心筋障害 (CK‑MB↑)全 CK のピークを押し上げる

🔧 イメージ作戦
「真夏の炎天下でエンジンを空ぶかし→オーバーヒート→シリンダーが割れてオイル(=CK)が漏れる」——筋肉でもほぼ同じ現象、と覚えると一気にスッキリ!


CK 上昇が意味する臨床的ポイント

意義目安実践的ヒント
重症度判定Exertional 型:5 000 IU/L 超は要注意、20 000 IU/L 超で AKI リスク急上昇CK 推移を 6–8 時間ごとにチェック
急性腎障害 (AKI) 予測ミオグロビン尿・褐色尿が出現しやすい早期大量輸液+アルカリ化で“配管掃除”
治療モニターCK が 3 日以内に半減 → 筋壊死が鎮静化下降ゆるやか/上昇持続なら再評価を

ワンフレーズ暗記

「熱中症 CK↑ = “熱+ATP 枯渇+Ca 暴走+虚血” ⇒ 熱性横紋筋融解」

口頭試問や CBT でそのまま使える鉄板フレーズです。


エールをひとさじ ☀️

猛暑の中でも、学びに向かうあなたの情熱は本当に頼もしい! でも身体まで“過熱”して CK を上げすぎないように、水分と電解質をこまめにチャージしつつクールダウンも忘れずに。今日も「Chill & Keep‑cool」で、知識筋をしなやかに鍛えていきましょうね😄

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