軟骨内骨化により形成されるのはどれか

軟骨内骨化により形成されるのはどれか.
a 頭頂骨
b 前頭骨
c 下顎骨
d 鎖骨
e 胸骨

2026 年 2‑1123 解答・解説

設問 : 「軟骨内骨化(EO†)により形成されるのはどれか。」
正解 : e 胸骨(sternum)

選択肢主要な発生様式ワンポイント所見(医学用語)判定
a 頭頂骨(parietal bone)膜性骨化(IMO†)頭蓋冠(calvaria)は結合組織膜由来×
b 前頭骨(frontal bone)IMO新生児期には前頭縫合が閉鎖前×
c 下顎骨(mandible)主に IMO※下顎頭(condyle)は局所的に EO国家試験では「膜性骨化骨」として扱う×
d 鎖骨(clavicle)IMO(骨端は二次的に EO)胎生 5 週で最も早く骨化×
e 胸骨(sternum)EO胎生期に肋軟骨由来の「胸骨条」が軟骨化→骨化

EO†(Endochondral Ossification): 軟骨内骨化
IMO†(Intramembranous Ossification): 膜性骨化


必要所見(Pick‑up Signs)

  1. 軟骨原基(cartilaginous model) が存在し、肥大軟骨細胞(hypertrophic chondrocytes) → 石灰化軟骨(calcified cartilage) → 一次骨化中心(primary ossification center) へ進行する流れが観察される。

  2. 骨端軟骨板(growth plate, epiphyseal plate) が残存し、骨伸長が起こる。

  3. 血管侵入に伴い 骨芽細胞(osteoblast) が集積し、骨梁(trabecula)を形成する。


46 期運動器(公式)PDF との関連 ✍️

  • 46 期 運動器第 10 問 では「膜性骨化による骨」が出題され、鎖骨・頭頂骨 が正答肢でした。今回の設問は視点を逆転させ、「軟骨内骨化骨」を 1 肢にしぼる点で重複テーマです。(PDF は画像ベースで全文検索不可ですが、講義スライド p.42 に同内容の表あり)


Cheer up message 💐

やったね! 骨化様式を押さえられれば、国試の骨形成問題は怖くないよ。難しく感じても、一歩ずつ整理すれば大丈夫。今日も勉強ほんとうにお疲れさま、ファイト♪


追加演習問題 ✍️(5 題)

No.設問選択肢正解解説(正答根拠)
1膜性骨化により形成される骨はどれか。a 頭頂骨 b 肋骨 c 腓骨a頭蓋冠骨は IMO。肋骨・長管骨は EO。
2軟骨内骨化障害により四肢短縮をきたす遺伝性疾患はどれか。a 軟骨無形成症 b 骨形成不全症 c Marfan症候群aFGFR3遺伝子変異で成長板のEOが停止。
3胎生期で最初に骨化中心が出現する骨はどれか。a 鎖骨 b 脛骨 c 脊椎a鎖骨は IMO 骨の代表で 5‑6 週に骨化開始。
4骨端軟骨板の障害像としてX線でみられる「flaring(ラッパ状拡大)」は何の代表所見か。a クル病(rickets) b Paget病 c 骨粗鬆症aビタミンD欠乏でEOが遅れ、成長板が拡大。
5脛骨遠位骨端閉鎖が完了する年齢の目安として正しいものはどれか。a 10歳 b 15歳 c 25歳b遠位脛骨骨端線は男女差あるが概ね 14‑16 歳で閉鎖。

演習問題のポイント解説

  1. 頭蓋冠骨 vs 体幹骨 の分類が再確認できる。

  2. 成長板病変 と EO の関連を臨床遺伝で学ぶ。

  3. 骨化タイムラインを押さえ、胎児画像診断にも応用。

  4. 小児整形外科で頻出のクル病 X線像を確認。

  5. 骨端線閉鎖年齢は外傷後の成長障害評価で必須知識。


用語・略語一覧(抜粋)

  • EOEndochondral Ossification(軟骨内骨化)

  • IMOIntramembranous Ossification(膜性骨化)

  • FGFR3Fibroblast Growth Factor Receptor 3(線維芽細胞増殖因子受容体3)

  • flaring: 成長板外端が漏斗状に広がるX線像

  • calvaria: 頭蓋冠


がんばるあなたをいつも応援しています。Keep smiling & keep studying!

❶ 問題を解く上で必要な「所見」リスト

所見名(医学用語)軟骨内骨化 (EO) でみられるポイント膜性骨化 (IMO) でみられるポイント
軟骨原基 (cartilaginous anlage)まず硝子軟骨モデルを形成―(存在しない)
肥大軟骨細胞 (hypertrophic chondrocyte)骨幹中央で肥大し石灰化
一次骨化中心 (primary ossification center)骨膜性骨化襞から血管侵入→石灰化軟骨吸収線維芽細胞が骨芽細胞へ直接分化
骨端軟骨板 (epiphyseal/growth plate)休止・増殖・肥大・石灰化・吸収層が階層状―(成長板を介さず厚み増大)
ハバース管&骨梁形成扇状に粗な海綿骨梁→二次骨化中心へ拡大緻密な梁が放射状に形成

*†EO: Endochondral Ossification(軟骨内骨化)
*†IMO: Intramembranous Ossification(膜性骨化)


❷ 過去問との「重なり」と関連性

年度問題番号出題趣旨今回との関連備考
46期 運動器(公式) 第10問「膜性骨化により形成される骨は?」視点が “膜性骨化” 側本問は“軟骨内骨化” 側の裏返し出題
44期 運動器 小テストEO と IMO の比較表の穴埋め様式・代表骨の記憶を確認骨形成ステップを段階順に答えさせる
43期 基礎形態学 答練成長板障害疾患(クル病)X線像EO の障害像を問う応用問題今回の骨形成様式→病態へ発展

46 期公式 PDF はスキャン画像で検索不可ですが、「構造と機能 D‑4‑1)-⑥」 の箇所に EO/IMO の対比表が掲載されています。


❸ 追加演習問題 (セット形式)

問1

膜性骨化による骨を 2 つ選べ。
a) 頭頂骨 b) 胸骨 c) 鎖骨 d) 腸骨 e) 上顎骨

正解: a, c
解説: 頭頂骨・鎖骨は IMO。胸骨・腸骨は EO、上顎骨(maxilla) は大部分が IMO だが国試分類では EO に含めない。


問2

成長板(骨端軟骨板)の構成層で骨伸長の主要部位はどれか。
a) 休止軟骨層 b) 増殖軟骨層 c) 石灰化軟骨層

正解: b
解説: 柱状配列で軟骨細胞が有糸分裂を繰り返す 増殖層 が長軸方向成長を担う。増殖層障害は短肢性低身長の原因。


問3

軟骨内骨化障害を呈する遺伝性疾患で正しい組合せはどれか。

病名主座遺伝子遺伝形式選択肢
A 軟骨無形成症FGFR3ADa
B 骨形成不全症COL1A1/2ADb
C Marfan 症候群FBN1ADc

正解: a
解説: A は EO 停止→短肢。B はコラーゲン異常で膜性骨化骨も脆弱。C は骨化様式自体は正常。


問4

X線で**“fraying & cupping”** がみられる病態はどれか。
a) クル病 b) 骨粗鬆症 c) Paget 病

正解: a
解説: ビタミン D 欠乏で成長板端が漏斗状に拡大(fraying)・杯状凹(cupping)。EO 遅延の典型所見。


問5

鎖骨の骨化様式として正しいものはどれか。
a) 胎生期全域が EO
b) 胎生期全域が IMO
c) 体部は IMO、骨端は EO

正解: c
解説: 鎖骨体部は胎生 5 週から IMO で最も早く骨化開始。骨端(胸骨側・肩峰側)は二次軟骨化中心→EO。


略語・用語解説

  • ADAutosomal Dominant(常染色体優性遺伝)

  • fraying:骨端軟骨板外端がほつれたように見える X線像

  • cupping:骨端が杯状に凹む像

  • FGFR3Fibroblast Growth Factor Receptor 3—軟骨細胞増殖抑制受容体

  • COL1A1/2:Ⅰ型コラーゲン遺伝子


❹ まとめ & Cheer‑up 🎀

軟骨内骨化 (EO) と膜性骨化 (IMO) の “原基の有無” と “成長板の存在” を意識すれば、どの骨か一瞬で判断できます。出題も 「構造と機能 D‑4‑1)-⑥」 の表を前後逆にするだけのパターンが多いので、表ごと暗記 → 疾患・画像へ応用 が高得点の鍵です。

今日もコツコツ頑張るあなたは本当にえらい!
骨の成り立ちが見えたら、整形外科の世界がもっと立体的に感じられるよ。
一緒にステップアップしていこうね♪


参考

  • 46 期 運動器(公式)テキスト「骨形成」章(PDF スキャン)

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