「正中部」の発生部位と代表腫瘍

 🌸 ポイントまとめ

  • 原始生殖細胞(PGC) は胎生5週頃,卵黄嚢内壁→背側腸間膜→生殖堤へと“正中ライン”を移動する(41期 設問43 b) 

  • 移動の途中で 迷入・脱落 した PGC が後年腫瘍化すると,性腺外(extragonadal)胚細胞腫瘍 が発生。

  • だから頻度は「性腺 80 %:正中部 20 %」という比率になる。


よく出る「正中部」の発生部位と代表腫瘍

部位好発腫瘍臨床トピック
仙骨尾部仙骨部奇形腫(新生児腫瘍最多)早期摘出で良好,AFPモニターが基本
後腹膜成熟奇形腫・未分化胚細胞腫卵巣・精巣原発の転移との鑑別が必須
縦隔(前縦隔)胚細胞腫・セミノーマ/非セミノーマKlinefelter症候群合併率↑,AFP・hCGでスクリーニング
松果体領域胚細胞腫・奇形腫思春期男子に多く,β-hCG↑で思春期早発を呈することも
脳下垂体茎・鞍上部胚細胞腫(germinoma)低ADH→尿崩症で気づく例あり

国試・チュートリアルで問われる視点

  1. 「なぜ正中部?」= PGC 迷入ストーリー

    • 迷入ルートと部位をセット暗記すると胚細胞腫瘍の発生場所が瞬時に想起できる。

  2. 腫瘍マーカーの整理

    • AFP:卵黄嚢腫瘍・未分化胚細胞腫

    • β-hCG:絨毛癌・胎児性癌・一部胚細胞腫

  3. 治療・予後

    • ほとんどが platinum系を中心とした化学療法感受性が高い(46期 設問38 b) 

    • 若年者多いため 妊孕性温存 の配慮を必ず(44期 設問7 4) 


🌼 まとめフレーズ

「正中ラインに落ちた“はぐれ胚細胞”が20 %」
だから 仙骨・後腹膜・縦隔・松果体で胚細胞腫瘍を見たら
PGC の迷子説 を思い出そう――これが国試の鉄板メカニズム!

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