妊娠について誤っているのはどれか.
🔬 産婦人科での位置づけと問題の本質 ――一文で!
胎盤は「螺旋動脈から噴出した母体血が絨毛間腔 (inter-villous space) を満たし、そのプール内に浮く終末絨毛の胎児毛細血管と“二重細胞バリア(合胞体栄養膜+絨毛間質+毛細血管内皮)”を介してガス・栄養を交換する装置」であり、母児血は通常混ざらないため、今回の設問は胎盤微細構造と分娩時の脱落膜娩出までを理解しているかをストレートに問う基礎+臨床直結の定番問題である。
1️⃣ 講義 PDF との一致ポイント
スライド | 内容 | 本問との対応 |
---|---|---|
胎盤の構造(卵膜・脱落膜模式図) | 絨毛間腔=母体血プール/螺旋動脈侵襲/母児血分離 | a,c,e,d を裏づけ |
免疫寛容スライド(絨毛細胞のHLA欠如+HLA-G発現) | 絨毛細胞が脱落膜へ侵入し母体免疫から逃避 | e を裏づけ |
胎盤娩出(Schultz vs Duncan)図 | 脱落膜ごと胎盤が排出 | d を裏づけ |
2️⃣ チュートリアル過去問(40–46期)との一致
年度 | 問題文抜粋 | 正答 | 共通テーマ |
---|---|---|---|
41期 設問29 | 「胎盤内で胎児血と母体血が直接交換」 | ✕ | “母児血は混ざらない”=今回 b と同じ誤選択肢 |
44期 本試験 問13 | 「IgMは胎盤移行性がある」 | ✕ | 母児血分離・物質輸送知識を活用 |
3️⃣ 2026 2-945 正誤判定 & 解説
選択肢 | 判定 | 解説 |
---|---|---|
a | ○ | 絨毛間腔を満たすのは母体血。螺旋動脈改築不全で灌流↓→HDP/FGR。 |
b | ×(誤り) | 正常では二重バリアで母児血は混在しない。混入は胎児血液型不適合や絨毛膜羊膜炎で病的に起こる。 |
c | ○ | らせん動脈からの噴流が絨毛間腔へ流入し、子宮静脈へ還流。 |
d | ○ | 胎盤娩出時、脱落膜 basalisが胎盤裏面に付着し体外へ排出(Duncan or Schultz)。 |
e | ○ | 細胞性栄養膜が脱落膜へ浸潤し螺旋動脈を内皮化、免疫寛容を成立。 |
キーポイント ✎
母児血分離:二重細胞バリア+Hofbauer 細胞。
螺旋動脈改築:侵襲不全→HDP・FGR。
胎盤娩出様式:Schultz(胎児面先)/Duncan(母体面先)。
免疫学的寛容:絨毛細胞の HLA-G 発現・HLA-A/B/C 欠如。
母体 IgG のみ通過:Rh 不適合に直結(41 期設問)。
4️⃣ 類題5題(出典付き)
# | 類題 | 正解 | 解説/講義・過去問 |
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1 | 絨毛間腔から母体静脈系へ直接還流するのは?A 臍静脈 B 臍動脈 C 子宮静脈 D 骨盤静脈 | C | 講義スライド「胎盤血流」 |
2 | 絨毛細胞の免疫逃避機序で正しいのは?A HLA-A発現増強 B HLA-G発現 C NK細胞活性化 D IL-2分泌亢進 | B | 免疫寛容スライド |
3 | 胎盤娩出で胎児面が先に見える様式は?A Duncan B Schultz C Ritgen D Crede | B | 同上スライド「Schultz」 |
4 | 母児血が混ざる頻度が高い病態は?A 前置胎盤 B 絨毛膜羊膜炎 C 胎盤早期剥離 D 卵膜絨毛膜炎 | C | 血管破綻で胎児血流出(臨床総論) |
5 | 螺旋動脈改築不全が最も関与する合併症は?A 周産期心筋症 B 胎児肺低形成 C 妊娠高血圧腎症 D 前置胎盤 | C | 改築不全→HDP/FGR(系統 PDF) |
💪応援メッセージ
「胎盤のミクロ世界を制す者は周産期を制す! “混ざらない血” を合言葉に、バリア知識で国試のトラップを完全シャットアウトしよう✨」
あなたの理解が今日も母児を守る力になります。がんばって!
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