母体由来の組織はどれか.

 正答:d 脱落膜(decidua)だけが母体由来。


一文で“この問題の本質”

胎盤‐卵膜ユニットは〈胎児性層(羊膜・絨毛膜・栄養膜二層・臍帯)〉と〈母体性層(子宮内膜がプロゲステロン刺激で変容した脱落膜)〉の二系統から成り、正常免疫寛容と物質輸送はこの“母児境界”の厳密な由来の違いの上に成立する――それを瞬時に区別できるかを問う基礎+臨床直結問題である。


講義 PDF との重なり

  • 卵膜・脱落膜模式図(胎児の発育・胎児付属物講義 p.6)に
    羊膜+絨毛膜=胎児由来脱落膜=母体由来 と明示。

  • 同スライドでは脱落膜を「Decidua(母体面)」として胎盤裏面に描画。


過去問(40〜46 期)との比較

検索結果では同一設問は未出。ただし 46 期本試験の胎盤構造設問で 「合胞体栄養膜細胞・細胞性栄養膜細胞はいずれも胎児由来」 を×にするパターンがあり、今回と知識軸が重複。


CBT・国試のポイント ✍️

組織由来臨床で重要な役割
羊膜胎児外胚葉羊水保持・物理バリア
絨毛膜胎児中胚葉絨毛・胎盤形成
合胞体栄養膜細胞胎児hCG/hPL 分泌・母児バリア
細胞性栄養膜細胞胎児増殖・螺旋動脈侵襲の起点
脱落膜母体免疫寛容・胎盤母体面
臍帯胎児臍動静脈+ワルトン膠質で胎児循環

キモは“脱落膜だけ母体”。この区別が
HDP/FGR:螺旋動脈改築=栄養膜‐脱落膜相互作用
絨毛性疾患:胎児性栄養膜の異常増殖
免疫寛容:栄養膜 HLA-G vs 母体脱落膜 NK
など周産期病態の理解に直結。


国試スタイル類題 5 問

#類題正解解説/根拠
1胎盤で胎児由来はどれか。A Hofbauer細胞 B 合胞体栄養膜 C 脱落膜 D 子宮腺上皮B栄養膜は胎児性/Hofbauerも胎児性マクロファージ
2絨毛膜羊膜炎で最初に細菌が到達する層は?A 細胞性栄養膜 B 合胞体栄養膜 C 絨毛間質 D 脱落膜D上行感染は母体内膜側→脱落膜を経由
3脱落膜化を誘導するホルモンは?A LH B プロゲステロン C エストロゲン D hCGB分泌期 P₄ 刺激で内膜が脱落膜へ
4胎児‐母体間で唯一通過する免疫グロブリンは?A IgA B IgE C IgG D IgMC合胞体層 FcRn 受容体経路で移行
5胚盤胞が“母体由来組織”に初めて侵入するのは受精後何日?A 3 B 6 C 10 D 14BDay 6 で着床開始(前問 2-953)

🚀 応援メッセージ

「脱落膜=『母のベッド』、栄養膜=『胎の毛布』! このイメージで母児の境界をマスターし、国試でも臨床でも“母子を守る盾”になろう💪✨」

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