妊娠中に発生する先天異常について,発生の頻度と妊娠週数の関係を表す最も適切な曲線はどれか.
正解:曲線 b(灰色)
一文で問題の本質と診療科での位置づけ
「先天奇形の発生頻度は“器官形成期(妊娠 4〜12 週)”に最大となり、その後は胎児期へ入るにつれ急減する」という胚発生学の鉄則を、週数×リスク曲線で瞬時に読み取れるかを問うものであり、薬剤・放射線・感染の曝露時期を評価する周産期診療の基盤知識を確認する問題である。
解析:曲線の意味づけ
曲線 | 形状 | 解釈 |
---|---|---|
a 黒 | 4 週で鋭いピーク後急降下 | 受精直後の“all-or-none”期(流産は多いが奇形少ない) |
b 灰 | 4〜12 週に高リスクで plateau | 器官形成期の主要奇形リスク曲線 ← 正答 |
c 赤 | 12〜22 週で中等度上昇 | 形態完成後の機能系障害(中枢神経・感覚器) |
d 緑 | 22〜26 週に小ピーク | 胎児期末期の増殖障害・微小奇形 |
e 青 | 後期ほど漸増 | 周産期合併症・成長遅延・行動発達障害など |
講義 PDF との重なり
**胎児の発育・胎児付属物(系統)**スライド「催奇形因子感受性の週数別グラフ」で同じ形の“山”が描かれ、4〜8 週で最高と明記。
分娩の生理 PDF「胚期/胎児期と先天異常リスク」チャートでも同様のピークを示す。
過去 40〜46 期チュートリアルに重複設問はなし
ただし 46 期 本試験で「嵌頓(器官形成)期は妊娠何週か?」と問う類題があり、知識の軸は同一。
CBT・国試解説のポイント
器官形成期=5〜10 週(受精後 3〜8 週)→形態異常のリスク最大。
0〜3 週は“all-or-none”:胚死亡か無害。
以降は機能障害・発達遅延が主体(薬剤添付文書もこの区分)。
TORCH、抗てんかん薬、ワルファリンなどの投与時期判断はこのカーブ理解が前提。
類題 5 問
# | 類題 | 正解 | ポイント |
---|---|---|---|
1 | 嵌頓期(器官形成期)に相当するのは妊娠何週?A 1-3 B 4-10 C 12-20 D 24-40 | B | 同軸知識 |
2 | 胎児四肢欠損を来す可能性が最も高いワルファリン曝露時期は?A 妊娠 2 週 B 妊娠 6 週 C 妊娠16 週 D 分娩直前 | B | 器官形成期 |
3 | 妊娠 7 週に風疹罹患した場合の胎児リスクで頻度が高いのは?A 重症心奇形 B 発育遅延のみ C 自閉スペクトラム D ほぼ無症状 | A | 器官形成期 |
4 | 妊娠後期に ACE 阻害薬曝露で起こりやすい奇形は?A 四肢欠損 B 尿量低下→肺低形成 C 無脳児 D 口蓋裂 | B | 胎児期特有の機能系障害 |
5 | 妊娠初期 X 線照射 0.1 Gy で最も高いアウトカムは?A 胎児死亡 B 知的障害 C 白血病 D 発育遅延 | A | 前期 all-or-none |
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