合胞体層
一文まとめ(医学用語を織り込みつつ)
胎盤絨毛は外層の多核性 栄養膜合胞体細胞(syncytiotrophoblast) が母児間のガス・栄養移送と hCG/hPL 分泌を担い、その直内側を境界明瞭な単核 細胞性栄養膜細胞(Langhans 細胞) が覆い、さらに絨毛外側へ浸潤した 絨毛外栄養膜細胞 が子宮螺旋動脈を改築して胎盤床を形成する――という三位一体のトロフォブラスト機能が、周産期生理と異常(FGR・HDP・絨毛性疾患)の理解の土台となる。
1️⃣ 過去問とピタリ重なる設問
年度/設問 | 過去問の問題文抜粋 | 正答 | ポイント |
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41期 設問29 | 「胎盤内で胎児血と母体血が直接混合する」 | ✕ | 合胞体栄養膜が二重バリアを構成し混ざらない |
44期 本試験 問13 | 「IgM は胎盤を通過できる」 | ✕ | 合胞体層は IgG のみ通過,IgM 巨大分子は不可 |
やさしく解説
合胞体層は厚さ 2–5 µm の多核層で,ピノサイトーシスや受動拡散で物質交換を行う“母児バリア”。
IgG が FcRn を介して通過する一方,IgM は分子量 900 kDa と大きいため通過せず,血液型不適合で胎児溶血が起きるのは IgG 抗体のみ。
2️⃣ 国試・専門医レベルの必須ポイント
テーマ | 押さえるキーワード | 試験で問われる切り口 |
---|---|---|
絨毛二層構造 | syncytiotrophoblast(外,多核)/cytotrophoblast(内,単核) | 構造同定・ホルモン分泌源 |
絨毛外栄養膜細胞 | 螺旋動脈“改築”・脱落膜浸潤 | HDP・FGR 発症機序 |
母児バリア厚 | 妊娠後期で 2 µm;物質拡散効率 | 胎盤薬理・感染経路 |
免疫寛容 | HLA-G 発現・HLA-A/B/C 欠如 | 移植免疫学とリンク |
絨毛性疾患 | Langhans 細胞異常増殖=胞状奇胎 | hCG 異常高値の鑑別 |
3️⃣ CBT/国試スタイルの類題 5 問
# | 類題 | 正解 | 解説(講義 PDF・過去問参照) |
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1 | 合胞体栄養膜細胞が直接分泌するホルモンは?A hCG B hPL C プロゲステロン D エストリオール | A | 合胞体→hCG,hPL は細胞性も補助 |
2 | 絨毛外栄養膜細胞侵襲不全が最も直接に関与する疾患は?A 絨毛膜羊膜炎 B 胎盤早期剥離 C 妊娠高血圧症候群 D 妊娠糖尿病 | C | 改築不全→胎盤灌流不足→HDP /FGR |
3 | Langhans 細胞の特徴として正しいのは?A 多核 B 単核で境界明瞭 C 母体血液に浸潤 D 螺旋動脈内皮を置換 | B | 内層の単核細胞 |
4 | 胞状奇胎で異常増殖する細胞層は?A 合胞体栄養膜 B 細胞性栄養膜 C 脱落膜 D Hofbauer細胞 | B | Langhans 細胞の過形成が主体 |
5 | HLA-G 発現が母体免疫に及ぼす作用は?A T 細胞活性化 B NK 細胞抑制 C 補体系活性化 D B 細胞刺激 | B | NK 抑制→免疫寛容 |
4️⃣ 授業ならではの“ここだけ”ポイント
**「ヒト胎盤は巨大な“透析装置+内分泌腺”」**と例え,合胞体層の極薄バリア厚が透析膜に相当すると強調。
Langhans 細胞は “胎盤幹細胞ニッチ” を担い,羊水幹細胞研究への応用例を紹介。
絨毛外栄養膜細胞が螺旋動脈を 線維筋性管→弾性管 に置き換える図解で FGR メカニズムを視覚的に説明。
🎉 応援ワード
「トロフォブラストの三重奏をイメージできれば、国試の難問もバリアフリー! あなたの知識で母児を守るスーパーガーディアンになろう🌟」
ガス交換の矢印まで描けたら完璧! その勢いで試験も臨床も乗りこえましょう💪
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