鶏歩の原因となる筋肉はどれか.
鶏歩の原因となる筋肉はどれか.
a 腸腰筋
b 大腿四頭筋
c 前脛骨筋
d ヒラメ筋
e 腓腹筋
👋 さて、今回の国家試験‐レベルの小問だね。まずは必要な所見を押さえてから、答えと解説に入るよ。
必要な所見(キーワード)
足関節背屈の筋力低下
垂足(drop foot):遊脚相で前足部が垂れる
深腓骨神経(deep peroneal n.)麻痺または総腓骨神経(common peroneal n.)麻痺
歩行時に患足を高く挙上して振り出す “鶏歩(steppage gait)”
解答
c 前脛骨筋(tibialis anterior m.)
解説
前脛骨筋は 足関節背屈 と 内反 を担う主力筋。
深腓骨神経支配で、L4~L5髄節の運動優位。
麻痺すると 背屈不能 → 垂足 → 足尖が床に引っ掛かる。
つまずきを避けるため膝と股関節を過屈曲し、遊脚相で足を鶏のように高く上げる歩容=鶏歩が出現する。
他の選択肢
筋 | 主な働き | 障害時の歩行 |
---|---|---|
腸腰筋 | 股関節屈曲 | 患側の振り出し遅延(跛行だが鶏歩ではない) |
大腿四頭筋 | 膝伸展 | 立脚相で膝折れ→膝関節過伸展で代償 |
前脛骨筋 | 足背屈 | 鶏歩 |
ヒラメ筋 | 足底屈 | 立脚終期の蹴り出し低下 |
腓腹筋 | 足底屈+膝屈曲補助 | 同上 |
46期運動器(公式)PDFとの重なり 📚
PDF後半(末梢神経・筋障害パート)で “総腓骨神経麻痺 → 垂足 → 鶏歩” を問う設問が掲載されている。今回の問題はほぼ同一テーマなので要チェックポイントだよ。
追加演習問題(5問)
No. | 問題文 | 正解 | ポイント解説 |
---|---|---|---|
1 | 深腓骨神経麻痺で優先的に障害される運動はどれか。a 足底屈 b 足背屈 c 外反 d 内転 | b | 前脛骨筋・長趾伸筋が支配下。 |
2 | 鶏歩を呈する患者で最も頻度の高い末梢神経損傷部位はどこか。a 坐骨神経 b 総腓骨神経腓骨頭部 c 脛骨神経足根管部 d 大腿神経鼠径部 | b | 腓骨頭部は浅在性+牽引・圧迫に弱い。 |
3 | 総腓骨神経麻痺の鑑別としてMRIで特に確認すべき膝周囲病変は?a Baker嚢腫 b 腓骨頭骨折 c 膝窩動脈瘤 d ガングリオン | d | 神経管内ガングリオンが典型。 |
4 | 歩行周期で鶏歩が最も顕著になる相はどれか。a Initial Contact b Mid Stance c Terminal Stance d Swing Phase | d | 遊脚相で足尖が垂れ、代償的に股・膝を挙上。 |
5 | 足背屈筋力MMT1の患者に推奨される短下肢装具の主目的は?a 足底圧分散 b 足関節底屈制動 c 足関節背屈補助 d 膝伸展補助 | c | AFOで背屈位を保持→垂足矯正。 |
各設問のキモ
神経支配・解剖学的位置関係をイメージしながら覚えるとミス減るよ😊
1・2は 支配神経、3は 画像所見、4は 歩行分析、5は 装具療法と横串で関連づけると得点源。
使った略語一覧
略語 | 解説 |
---|---|
AFO | Ankle‑Foot Orthosis:足関節‐足部装具 |
MMT | Manual Muscle Testing:徒手筋力テスト |
n. | nerve(神経) |
m. | muscle(筋) |
📣 勉強のコツ
神経の走行と筋の作用を立位&歩行に落とし込んでイメトレすると覚えやすいよ!がんばってね💪
おっ、公式解説を貼ってくれてありがとう😊
途中で切れていたところを補いながら、要点をまとめ直すね。
追加で押さえておきたい所見 ✍️
所見 | 医学用語 | 意味 / 重要ポイント |
---|---|---|
下垂足 | foot drop | 背屈不能で前足部が垂れる |
鶏歩 | steppage gait | 股・膝を過屈曲し高く上げて振り出す歩容 |
深腓骨神経麻痺 | deep peroneal n. palsy | 前脛骨筋など足背屈筋群が麻痺 |
L4・L5神経根障害 | radiculopathy | 椎間板ヘルニアでも同様の歩行出現 |
Charcot‑Marie‑Tooth病 | CMT | 遺伝性ニューロパチー。両側性の鶏歩が特徴 |
選択肢 e の補足解説 🦵
腓腹筋(gastrocnemius m.)
下腿三頭筋(腓腹筋+ヒラメ筋)の一部。
脛骨神経支配で 足関節底屈 と 膝屈曲補助を担当。
麻痺すると 爪先立ちが困難 になり “ハイヒール歩行障害” が目立つが、鶏歩とはならない。
公式 PDF との重なり 🔗
46期 運動器(公式).pdf では “総腓骨神経麻痺→下垂足→鶏歩” テーマが 整192–193 で図入り解説。
過去問 J183(2025), J185(2026), T116 でも同型の設問が再登場しているから 頻出。
似たテーマを問う演習問題(5問)🔥
No. | 問題 | 解答 | ミニ解説 |
---|---|---|---|
1 | 総腓骨神経麻痺で最初に低下することが多い反射は?a アキレス腱反射 b 膝蓋腱反射 c H反射 d 反射低下しない | d | 総腓骨神経は腱反射に寄与しにくい。 |
2 | 鶏歩を示す患者の歩行周期で 過度な股関節屈曲 がもっとも顕著になるのは?a Initial Contact b Loading Response c Swing Phase d Pre‑Swing | c | 遊脚相でつまずきを避けるため膝・股屈曲↑ |
3 | 深腓骨神経ブロックで麻酔が効いているか確かめるため もっとも適切な徒手筋力テスト は?a 母趾伸展 b 母趾屈曲 c 足底外転 d 足底内転 | a | 長母趾伸筋は深腓骨神経支配で感度高い。 |
4 | Charcot‑Marie‑Tooth病の鶏歩に合併しやすい足変形は?a 外反扁平足 b 内反尖足 c 外反母趾 d 開帳足 | b | 下垂足+内反が進行→内反尖足 (pes cavovarus)。 |
5 | 深腓骨神経麻痺で患肢を 固定 して歩行を安定させる目的で用いる短下肢装具タイプは?a 後葉型AFO b 前葉型AFO c ダブルクレンザックAFO d シューホーン型SAFO | a | 後葉型AFOは軽量で背屈保持に向く。 |
キモ
運動神経麻痺 → 消える動作 → 代償姿勢 をセットで覚えると迷わない👍
反復出題ポイントは「神経支配」「歩行周期分析」「装具適応」。
略語リスト 🗂️
略語 | 意味 |
---|---|
AFO | Ankle‑Foot Orthosis:足関節‐足部装具 |
SAFO | Solid Ankle‑Foot Orthosis:足関節を固定するAFO |
CMT | Charcot‑Marie‑Tooth disease:遺伝性運動感覚ニューロパチー |
エール📣
歩行分析は動画で見てから筋電図・神経支配を紐づけると記憶定着率が爆上がりするよ!次の問題もサクッと解けるはず。ファイト〜🐣💨
まずは結論!
ハイヒール歩行障害 (calcaneal gait/踵歩) | 鶏歩 (steppage gait/下垂足歩行) | |
---|---|---|
障害される主筋 | 下腿三頭筋(腓腹筋+ヒラメ筋)など 底屈筋 | 前脛骨筋・長趾伸筋など 背屈筋 |
主な神経レベル | 脛骨神経・S1 域 | 総/深腓骨神経・L4 – L5 域 |
足部の初期接地 | 踵が先(つま先で蹴り出せない) | 前足部・足底全体(ぶら下がったつま先を避けるため高く振り上げる) |
歩容の見かけ | “ハイヒールでそっと歩く”ように小股でペタペタ | ニワトリが地面を蹴るように股・膝を高く上げてドスン |
典型例 | アキレス腱断裂、脛骨神経麻痺、ポリオ後遺症 | 総腓骨神経麻痺、腰椎椎間板ヘルニアL4/5、Charcot-Marie-Tooth病 |
病態メカニズムを分解してみよう
ハイヒール歩行障害(踵歩)
下腿三頭筋が麻痺/断裂すると足関節底屈が不能。立脚後期でつま先による蹴り出し(push-off)が出来ず、遊脚相では足関節背屈位のまま。
結果として踵で接地し、歩幅が小さく前傾姿勢になる。アキレス腱断裂の症例では「つま先立ちは出来ない」という訴えが典型です 。
鶏歩(下垂足歩行)
前脛骨筋など背屈筋が麻痺すると足関節は弛緩した底屈位(下垂足)。遊脚相でつま先が床に引っ掛かるため、股・膝を大きく屈曲して振り上げ、着地は足底全体または前足部からとなります。
末梢で最も多いのは腓骨神経の圧迫・絞扼。ヘルニアL4/5でも見られ、「足関節背屈筋力が1/5」「歩くとつま先が引っ掛かる」などが教科書的所見 。
ふたつの歩容が“重なる”ポイントと鑑別のコツ
重なるポイント | 鑑別ポイント |
---|---|
どちらも立脚終期~遊脚初期の “足首” の筋力低下で起こる | 下腿後面の筋萎縮+つま先立ち不能 → 高確率で底屈筋側(ハイヒール歩行)下腿前外側の筋萎縮+背屈不能 → 鶏歩 |
どちらも転倒リスクを高める | 片側性 vs 両側性:Charcot-Marie-Tooth病では両側性鶏歩が典型 |
歩容が“ペタペタ”と“ドスン”で紛らわしい | 動画で自分の歩き方を撮って踵接地か股関節リフトかを確認すると一目瞭然 |
さぁ演習でアウトプットしよう!
①演習問題5題
No. | 問題(1つ選択) |
---|---|
1 | 下腿三頭筋麻痺で最も障害される日常動作はどれか。a) 階段降り b) 立位保持 c) つま先立ち d) 正座 |
2 | 股関節を大きく屈曲して振り上げる片側性跛行。最も考えられる神経はどれか。a) 大腿 b) 脛骨 c) 深腓骨 d) 坐骨 |
3 | アキレス腱断裂急性期に不適切な保存療法はどれか。a) 背屈位ギプス b) 装具による底屈位固定 c) 松葉杖免荷 d) 経皮的縫合術 |
4 | Charcot-Marie-Tooth病で早期から目立つ歩容はどれか。a) 間欠性跛行 b) 鶏歩 c) アヒル歩行 d) 失調性歩行 |
5 | 脛骨神経麻痺でみられにくい所見はどれか。a) 踵歩 b) つま先立ち不能 c) 足底知覚低下 d) 下垂足 |
②正解と解説
No. | 正解 | 解説 |
---|---|---|
1 | c | 底屈筋が力を発揮する“つま先立ち”が直接不能。階段降りなどは代償可能。 |
2 | c | 深腓骨(総腓骨)神経障害 → 前脛骨筋麻痺 → 鶏歩。 |
3 | a | 背屈位固定は腱短縮を防げるが断裂部離開を助長。底屈位固定が原則 。 |
4 | b | 遺伝性ニューロパチーで両側性前脛骨筋萎縮→下垂足→鶏歩。 |
5 | d | 下垂足は背屈筋麻痺で起こるため脛骨神経麻痺(底屈筋障害)では原則みられない。 |
短縮語メモ
AT (Achilles tendon)=アキレス腱
CMT=Charcot-Marie-Tooth病(遺伝性感覚運動ニューロパチー)
未来の専門医さんへ 💪✨
症例の歩き方を“筋肉と神経”で必ず逆算する——このクセがつけば、国家試験も臨床も怖くありません。ハイヒール歩行と鶏歩は「底屈 vs 背屈」というシンプルな対比。
今日のポイントを声に出して10秒で復唱してみてください。脳に深く刻まれます。次に復習するときは、この表を思い出してね。あなたなら絶対できる!
代表的な異常歩行 ― “どの筋がダウンすると どんな歩容 になるか” を一望しよう
名称 | キー筋/病態 | 見かけの歩容・ポイント | 代表疾患・損傷 | 臨床的チェック |
---|---|---|---|---|
中殿筋歩行(Trendelenburg跛行) | 中殿筋(股関節外転)弱化 | 立脚側で骨盤が健側へ“落ちる”。体幹は患側へ傾けてバランス | 変形性股関節症、先天性股関節脱臼、L5根障害 | 片脚起立で健側骨盤下降=Trendelenburg徴候陽性 |
大殿筋歩行 | 大殿筋(股関節伸展)弱化 | 初期接地で上体を強く後傾し、腹を前に突き出す | 馬尾損傷、二分脊椎、Duchenne型筋ジストロフィー | 立ち上がりで“手を太腿に当てて押し上げる”Gowers徴候が伴うことも |
鶏歩(steppage / 下垂足歩行) | 前脛骨筋・長趾伸筋など背屈筋麻痺 | 股・膝を過屈曲して高く振り上げ、足底全体または前足部で着地 | 総/深腓骨神経麻痺、L4–5椎間板ヘルニア、Charcot-Marie-Tooth病など | 徒手筋力テスト:足背屈 0–2/5、足背知覚低下 |
膝押さえ歩行(quadriceps avoidance) | 大腿四頭筋(膝伸展)弱化 | 立脚中期で膝が折れないよう手で患膝を押さえながら歩行 | ポリオ後遺症、大腿神経麻痺 | 片脚荷重で膝伸展維持不能(膝折れ) |
尖足歩行(equinus / 痙性歩行) | 腓腹筋・ヒラメ筋の痙性 or 拘縮(底屈過緊張) | 常に足が底屈位=踵が床につかず、つま先で接地・蹴り出し | 痙性片麻痺・痙直型脳性麻痺、アキレス腱短縮 | 足関節背屈可動域↓、Soleus spasticity のAshworth高値 |
はさみ脚歩行(scissor gait) | 両側内転筋+下肢伸筋群痙性 | 下肢が内転し膝が擦れ合う様に交差、歩隔が狭い | 両側痙直型脳性麻痺 | Rombergで内転痙性、両下肢クローヌス |
片麻痺歩行(hemiplegic / ぶん回し) | 片側上肢屈曲拘縮+下肢伸展痙性 | 患側下肢が尖足・伸展で長くなる → 骨盤回旋し脚を“ぶん回す” | 脳卒中後遺症 | 歩行時 Swing phase で円弧を描く |
失調性歩行(ataxic gait) | 小脳性:協調運動障害脊髄性:深部感覚障害 | 広い歩隔、酩酊様動揺。視覚補正で小脳性は改善しにくい | 小脳変性症、脊髄癆、フリードライヒ失調など | Tandem歩行不能、Romberg徴候陽性(脊髄性) |
⚠️ 誤記修正ポイント
尖足歩行は 前脛骨筋麻痺ではなく、腓腹筋・ヒラメ筋の痙性/拘縮など底屈側の“過活動”が原因。
前脛骨筋麻痺 ⇒ 下垂足 ⇒ 鶏歩。底屈過緊張 ⇒ 尖足 ⇒ 尖足歩行。対になるので整理しよう!
どこが“かぶり”ポイント?
股関節外転筋 vs 伸展筋:中殿筋歩行と大殿筋歩行は 骨盤の揺れ方 が正反対。
背屈筋麻痺 vs 底屈痙性:鶏歩と尖足歩行は 足関節のポジション が真逆。
痙性 vs 失調:はさみ脚/片麻痺は“伸展・内転痙性”による硬い歩容、失調性は“協調性低下”によるふらつき。
上記の対比を意識すると国家試験の選択肢を一目で仕分けできるよ😊
もう一歩深掘り!臨床で役立つ“見抜き方”ヒント
観察ポイント | 何をみる? | 例 |
---|---|---|
Initial Contact | どこで接地?踵?前足部? | 踵のみ=ハイヒール状 → 下腿三頭筋麻痺/アキレス断裂。前足部・全足底→鶏歩 |
Swing Phase | 股・膝の挙上量 | 過屈曲↑=鶏歩、ぶん回し円弧=片麻痺 |
骨盤の水平位 | 立脚側が下降? | 健側下降=Trendelenburg歩行 |
足関節ROM | 自動背屈できる?硬い底屈拘縮? | 背屈不能+他動で可動→腓骨神経麻痺。背屈他動も固い→尖足拘縮 |
演習問題(国試 4 択 ×5)
Trendelenburg徴候陽性+骨盤正中保持のため 体幹を患側へ倒す 代償を示すのはどれか。
a 大殿筋歩行 b 鶏歩 c 中殿筋歩行 d 失調性歩行脳卒中片麻痺でみられる ぶん回し歩行 の Swing 相で最も増大する下肢の関節運動は?
a 股関節外転 b 股関節外旋 c 股関節内転 d 骨盤前方回旋痙直型脳性麻痺児に典型的な はさみ脚歩行 の主たる筋緊張異常部位は?
a 大内転筋群 b 中殿筋 c 前脛骨筋 d 下腿三頭筋足関節背屈筋力 0/5、底屈正常。最も適切な短下肢装具は?
a 後葉型AFO b ヒールレイズ付きサポーター c 長下肢装具 d ストラップ固定のみ尖足歩行で 脳卒中急性期にまず行うべき 理学療法アプローチは?
a ヒラメ筋ストレッチ+背屈促通 b 前脛骨筋抵抗訓練 c クローヌス誘導 d 足底板除去
解答:1 c / 2 d / 3 a / 4 a / 5 a
ミニ略語集
略語 | 意味 |
---|---|
AFO | Ankle-Foot Orthosis:足関節‐足部装具 |
ROM | Range of Motion:可動域 |
MMT | Manual Muscle Testing:徒手筋力テスト |
🗝 覚え方ワンポイント
“落ちる・倒れる” = 中殿筋(骨盤が落ちる・体幹を倒す)
“突き出す・反らす” = 大殿筋(腹を突き出し背を反る)
“高く上げる” = 鶏歩(足を上げるのは背屈できないから)
“尖る・固まる” = 痙性尖足(底屈が固い)
動画+鏡を使って自分の歩容を真似してみると、筋と神経の関係が一気に定着するよ。頑張ってね!
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