1 歳以降に手根骨が“骨年齢判定のゴールドスタンダード”となる理由
正答
b 手根骨(carpal bones)
1 歳以降に手根骨が“骨年齢判定のゴールドスタンダード”となる理由
観察対象 | 出現・融合パターン | 判定精度 | 臨床での汎用性 |
---|---|---|---|
手根骨(8個の骨化中心) | 1 歳頃から 13 ~ 15 歳にかけて順次骨化し、最後に融合するため、成長期全体で時系列的に評価できる | Greulich‑Pyle(GP)法・Tanner‑Whitehouse(TW)法など世界的に標準化された基準が存在 | 左手 X 線 1 枚で撮影範囲が狭く被ばくも最小 |
上腕骨・大腿骨・脛骨 | 骨端核数が少なく、出現タイミングがラフ | ばらつきが大きい | 撮影範囲が広く被ばく増 |
腸骨 | 二次骨化中心の出現が思春期後半で、1 歳~学童期の判定には使えない | – | – |
GP 法:X 線像を標準アトラスと比較して BA(Bone Age=骨年齢)を決定
TW 法:各骨化中心に点数を与え、総得点から BA を算出
関連 PDF(46 期 運動器《公式》)との重なり
本 PDF では「小児四肢 X 線での骨端線観察」「骨化中心の出現順序」を問う設問が複数あり、骨化=骨成熟という同じ概念で出題されています。
特に 第 38 問(骨端線閉鎖の時期)と 第 42 問(成長期骨折の発生部位)は、骨年齢を理解していれば解答しやすい構造です。
関連性:骨端線閉鎖は BA の進行度そのもの ⇒ BA を把握していれば骨端線の残存期間・骨折好発部位を予測できる。
臨床所見・医学用語
用語 | 解説 |
---|---|
骨端核(epiphyseal nucleus) | 軟骨内骨化により二次的に形成される骨化中心。 |
骨端線(epiphyseal plate) | 成長軟骨。閉鎖すると身長の伸びが止まる。 |
骨年齢(BA) | 骨化中心の出現・融合を暦年齢と対比して評価した成熟度。 |
Greulich‑Pyle(GP)法 | 左手手根骨 X 線をアトラスと比較して BA を決定する方法。 |
Tanner‑Whitehouse(TW)法 | 20 余りの骨化中心に点数を付与し総和で BA を算出する方法。 |
同テーマを問う演習問題(5 問)
No. | 問題 | 選択肢 | 正解 | 解説 |
---|---|---|---|---|
1 | 骨年齢を GP 法で評価する際、標準的に用いる側はどれか。 | a 右手b 左手c 両手いずれでも | b | アトラスは左手像で作成されているため左右差を回避できる。 |
2 | 新生児期(0~3 か月)の骨年齢判定で有用な部位はどれか。 | a 手根骨数b 大腿骨遠位骨化中心c 橈骨遠位骨端線 | b | 新生児は膝周囲(大腿骨遠位・脛骨近位)の骨化中心で判定する。手根骨は未出現。 |
3 | BA が暦年齢より 2 年以上進んでいた。まず疑うべき疾患は? | a 成長ホルモン分泌不全症b 甲状腺機能低下症c 思春期早発症 | c | 性ホルモン過剰により骨成熟が促進し BA が前倒し。 |
4 | 骨年齢が遅延している低身長児の精査で最優先に測定すべきホルモンは? | a ACTHb GH(成長ホルモン)c PTHd PRL | b | GH 欠乏は BA 遅延の代表。 |
5 | TW 法で点数評価の対象に含まれない骨はどれか。 | a 第 1 指中手骨b 舟状骨c 大腿骨骨頭 | c | TW 法は手部 20 余りの骨化中心のみを採点対象とする。 |
正解・不正解の根拠(例:演習 1)
正解(b 左手):GP アトラスは左手像で作成。右手では利き手使用による成熟差が入り得る。
誤答(a, c):右手や左右いずれでもでは基準画像と一致せず判定誤差が増大。
まとめ 🔑
1 歳以降の骨年齢評価は 左手手根骨 X 線 を用いる GP 法/TW 法が世界標準。
成長障害や内分泌疾患のスクリーニングでは、暦年齢との差(進み・遅れ)を必ず確認し、必要に応じてホルモン検査・画像検査へ展開する。
画像で示された内容の通り、成長期において骨年齢を評価するのに適しているのは「手根骨」です。
解説と理由:
手根骨(Carpal bones)は近位列(舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨)と遠位列(大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鉤骨)の計8個の小骨から構成されています。
各骨の骨端核の出現時期がそれぞれ異なっており、この「時期のズレ」を用いることで精密な骨年齢の評価が可能になります。
このため、特に1歳以降の成長期では、標準化された評価法(Greulich-Pyle法やTanner-Whitehouse法など)を用いて手根骨を指標に骨年齢を評価することが医学的に一般的です。
各選択肢の解説:
a 上腕骨
骨端核の数が限られ、判定に適していない。b 手根骨(正解)
多数の骨端核が順次骨化し、評価が詳細に可能。c 大腿骨
骨端核の数が少なく評価の精度が低い。d 脛骨
骨端核が少なく、また評価に用いる基準が確立されていない。e 腸骨
腸骨は主に骨盤成熟を評価する際に用いられ、幼少期の骨年齢評価には適さない。
類似の演習問題(5問):
問1
成長期に骨年齢評価で最も頻繁に用いられる撮影部位はどれか?
①脊椎 ②股関節 ③手根骨 ④胸骨
正解:③手根骨
解説:手根骨の骨化順序が標準的で評価がしやすい。
問2
手根骨の骨年齢評価法で広く使われるのはどれか?
①Greulich-Pyle法 ②Salter-Harris法 ③Allman分類 ④Rockwood分類
正解:①Greulich-Pyle法
解説:Greulich-Pyle法は手根骨のX線画像と標準的なアトラスを比較して骨年齢を評価する。
問3
乳児期の骨年齢評価で最も適しているのはどれか?
①手根骨 ②肋骨 ③大腿骨遠位骨端 ④腸骨
正解:③大腿骨遠位骨端
解説:乳児期は大腿骨遠位端の骨化中心が有用であり、手根骨はまだ十分に出現していない。
問4
骨年齢が暦年齢より遅延している際に最も疑う疾患は?
①甲状腺機能低下症 ②成長ホルモン過剰症 ③早熟症 ④クッシング症候群
正解:①甲状腺機能低下症
解説:甲状腺機能低下症は骨成熟を遅らせ、骨年齢が遅延する代表的疾患。
問5
Tanner-Whitehouse法で評価対象になる部位はどれか?
①橈骨遠位端 ②腓骨遠位端 ③手根骨 ④膝蓋骨
正解:③手根骨
解説:Tanner-Whitehouse法は主に手根骨の成熟を点数化して評価する。
正解の根拠:
手根骨は時系列的な骨化過程が非常に明確であり、骨年齢評価の世界標準として最も広く採用されていることから、正解は「b 手根骨」です。
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