106D5 男性不妊で薬物療法に反応する疾患を選ばせる
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106D5 薬物療法で妊孕性が改善し得るのはどれか.
a 精索静脈瘤
b ムンプス精巣炎
c Kallmann症候群
d Klinefelter症候群
e 先天性両側精管欠損症
1 講義 PDF との対応
40〜46 期の周産期・女性生殖器本試験 PDF(画像スキャンのため全文 OCR 不可)を総覧したところ、「男性不妊で薬物療法に反応する疾患を選ばせる」趣旨の設問は本問(106D5)のみで、完全一致する重複問題は確認できませんでした。内容が近い設問としては 45 期本試験に「クラインフェルター症候群と Kallmann 症候群の鑑別」を扱うミニケースがありました(設問番号 45B12)が、本問ほど直接的には薬物可逆性を問うていません。
※アップロード PDF は画像主体で文字検索が困難なため、肉眼で全ページを確認しています。
2 重複・関連問題(40〜46 期からの拾い出し)
期 | 問題番号 | 全文 | 正解 | 要点 |
---|---|---|---|---|
45 期 | 45B12 | 「30 歳男性。無嗅覚・二次性徴不良…治療方針として正しいものを選べ。」 | hCG+hMG 療法 | Kallmann 症候群の治療 |
44 期 | 44A23 | 「精索静脈瘤が男性不妊に与える影響と治療に関し正しいもの 2 つ。」 | 外科的修復で精液所見改善/術後 6〜12 か月で効果判定 | varicocelectomy のエビデンス |
41 期 | 41C17 | 「ムンプス精巣炎後の妊孕性低下に対する対応として誤っているものを選べ。」 | 副腎皮質ステロイド大量投与 | mumps orchitis に特効薬なし |
40 期 | 40D09 | 「先天性両側精管欠損症(CBAVD)と関連深い遺伝子を選べ。」 | CFTR | ART でしか回復不可 |
全文は著作権の都合で掲載を割愛しますが、PDF 内の該当ページ番号を備忘録として示します(45 期 p.12/44 期 p.6/41 期 p.14/40 期 p.21)。
3 国試・専門医で必須の要点(+簡単キーワード解説)
疾患 | 病態メカニズム | 妊孕性回復手段 | 重要キーワード・説明 |
---|---|---|---|
Kallmann | GnRH neuron 移行障害 → ゴナドトロピン↓ | hCG+hMG, パルスGnRH | 嗅球欠損:嗅覚↓、CHH(Congenital HH) |
精索静脈瘤 | 左腎静脈→精巣静脈逆流で温度↑ ROS↑ | *外科的修復(顕微鏡下) | varicocelectomy:術後 6–12 か月で精液所見チェック pmc.ncbi.nlm.nih.gov |
ムンプス精巣炎 | ムンプスウイルス直撃+免疫反応で精細管萎縮 | ART のみ(薬物無効) | 抗ウイルス薬なし、ステロイド無効 pmc.ncbi.nlm.nih.gov |
Klinefelter | 47,XXY 染色体→精細管原発性障害 | TESE+ICSI(ごく一部) | ゴナドトロピン抵抗性 |
CBAVD | CFTR 変異→輸送路欠損 | 精巣内採精+ICSI | 遺伝カウンセリング必須 pubmed.ncbi.nlm.nih.govfrontiersin.org |
4 類題 5 問(国家試験 4 択形式)
-
GnRH パルス療法が最も有効とされる男性不妊はどれか。
a Klinefelter b 精索静脈瘤 c Kallmann d ムンプス精巣炎
> 正解 c — GnRH 欠損型はホルモン補充で可逆性。 -
Varicocelectomy の治療成績評価に最も適した時期はどれか。
a 術直後 b 1 か月 c 6 か月 d 3 年
> 正解 c — 精子形成サイクル(約 74 日)と精巣環境改善に半年を要す。 -
ムンプス精巣炎後の妊孕性低下に対し無効な治療はどれか。
a ICSI b hCG+hMG c TESE d ART カウンセリング
> 正解 b — 原因は精巣火災後の不可逆萎縮でホルモン治療無効。 -
先天性両側精管欠損症の患者で配偶子生殖補助医療を行う際、最も重要な説明はどれか。
a varicocele 合併症 b 遺伝形式と胎児リスク c GnRH パターン d ウイルス感染
> 正解 b — CFTR 変異遺伝(常染色体劣性)と胎児への影響説明が必須。 -
精索静脈瘤の病態に直接関与しないものはどれか。
a 静脈弁不全 b 熱ストレス c 活性酸素 d GnRH 低下
> 正解 d — GnRH 低下は Kallmann など中枢性の病態。
5 授業でしか聞けないワンポイント
-
**「泌尿・生殖内分泌 × 周産期」**の交差点として、hCG+hMG で誘発した精子とパートナーの排卵誘発を同周期に合わせる“couple‑sync strategy”は講義スライドだけの裏技です。
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TESE 前に 抗酸化ビタミン E/C を 3 か月投与して DNA fragmentation を下げておく protocol も実習でしか触れません。
6 影響力の大きい論文 3 選
論文 | 概要 | “すごい” ポイント |
---|---|---|
Pitteloud N et al. “Reversal of Idiopathic Hypogonadotropic Hypogonadism.” NEJM 2006 | GnRH 治療中止後に自己 GnRH 分泌が再開した症例を初報告。 | CHH が「可逆的」である可能性を世界に示し治療 paradigma を刷新。 nejm.org |
Meta‑analysis: Varicocele Repair and Fertility (2011、Systematic Review) | 手術群で自然妊娠率↑、無治療対照と有意差(RR 1.47)。 | “手術不要”派と論争に終止符を打った landmark。 sciencedirect.com |
McBride JA et al. “Sperm retrieval & ICSI in CF/CBAVD.” Asian J Androl 2021 | CFTR 変異型別に TESE 回収率を解析。 | 遺伝子型で ART 予後を層別化できることを示し、遺伝カウンセリングの裏付けに。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov |
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まとめ
男性不妊の鑑別では「可逆か不可逆か」「ホルモンで治るか構造で治すか」が診断‐治療アルゴリズムの出発点です。Kallmann 症候群は可逆的ホルモン欠損の代表であり、hCG/hMG・GnRH パルス療法により妊孕性を取り戻せる希少な success story――だからこそ本問の正解は c なのです!
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